夫の学歴を追い越した

タイトルはちょっと不正確ですね。私たちは共に大学院卒(私は見込)なので学歴は同じです。偏差値的に私が上回ってしまったという話です。

初めて会った時、彼は院卒、私は高卒でした。結婚するときは、高卒なんかと話が合うのかと周囲の友人に囁かれました(目の前で言われたのでよく覚えています)。

その言葉に反発を覚え、誰も馬鹿にできない学歴をつけようと決めました。日本ではエリートでも博士号を持っている人は少ないので、どうせなら博士課程まで行ってやろうと思いました。

大学へ行こうと思う。結婚直前にそう話すと、夫は喜んでくれました。せっかく外国に住むのだから家に篭っていては勿体ない、見識を深めるのはいいことだ。そう言って嫌な顔一つせず学費を出してくれました。

大学卒業後、帰国を機に再就職しました。働き始めてしばらくして、人事から社内奨学金の案内を渡されました。この時も夫は喜んでくれました。

そうやっているうちに、夫の通っていた学校より良いところへ通うことになりました。夫は表向き喜んでいましたが、それ以来時々皮肉を言われるようになりました。

正直、彼と私の学位の価値は違います。彼は所謂一般入試組です。内申点を積み上げて、センター試験(彼の出身大学は日本ではないのでセンター試験ではありませんでしたが、似たような試験です)で高得点を得て、そうしなければ入れませんでした。一方で私は社会人入試経由なので、仕事の業績で入ったようなもので大して成績は重視されませんでしたし、会社の奨学金を貰っていることも選考に有利に働きました。

加えて、私は入試に当たって時間当たり何万もする家庭教師やコンサルタントを雇っています。夫の収入がなければ、利用しようとも思わなかったでしょう。

だからゲタを履いて通ったようなものだし、30歳を超えて取った学位なんて評価する人は少ないと説明しましたし、彼もそんなことは百も承知です。それでも気まずくなる瞬間はあります。

女性が男性より劣っていなければいけない道理はありません。それでも、私自身がそういった性的役割分担から完全に自由になれたわけではないので、時々大学院なんて行く必要あったのかな、と考えます。給料が上がるわけでもないですし、昇進に必須なわけでもないですし。所詮、学位は新卒採用時のみ有効な道具でしかなく、そういう意味では私に学位を取る利点はありませんでした。

本当にくだらない話ですが、学歴、勤務先、昇進で女性が男性を凌駕することで破局に至る事例は少なくありません。まだ男性も女性も固定観念を無視するほど強くはないのでしょう。しかし、男女で元々の能力にさほど差がない以上こういうことは起こり得ます。私は昇進もしたいですし、博士号も取りたいです。こういう自分を変えない以上今後揉め事の種は増えていくことは見えています。ですが、うまく家庭の平和と両立していきたいです。