書くことは、感情を定着させること

暗記をする際に、覚えたい事を何度も書いたことは誰にでも経験があることでしょう。手や口を動かすことが記憶の定着に役立つのは科学的な事実です。

日記をつけている人は、つけていない人より過去のことをより記憶しているでしょうし、起こったことに対する考えも深まっていることと思います。なので、私は書くことは大事だと思っています。一方で、書かないことも同じくらい重要だと考えています。

愛読しているブログがあるのですが、最近ちょっと心配なのです。

そのブログを書いている人は、専業主婦で家族以外の誰とも接点がありません。記事を読んでいると、彼女の世界は家族が全てであることが伺えます。

彼女がブログを始めた当初は、日々の見過ごしてしまいそうな不満を丁寧に掬いあげて言語化しているのに感心していました。頭の良い人だという印象を持っていました。

ただ毎日旦那さんへの不満を書いているうちに彼女の中に感情が蓄積してしまったのか、文面から溢れる感情がどんどんどす黒くなっているのを感じ、そのうち読むのが辛くなってお気に入りから外してしまいました。

彼女は旦那さんと離婚する意思はなさそうです。おそらくこれからも愚痴を書いては旦那さんを嫌いになり、どんどん自身を不幸にしていくのだと思います。

私も夫の愚痴を書くことがあります。でもすぐに止めようと決めました。その記事を書いた後、夫のことが少し嫌いになったからです。結婚して10年以上経つのに恥ずかしいのですが、それまでは彼に恋する気持ちがありました。電話が鳴ると嬉しかったのです。今はそういうこともなくなってしまいました。私は、恋を失った分だけ不幸になりました。

記事を書く前後で彼が変わったわけではありません。私が自分の気持ちを言葉にしてしまったことで、「私の夫には、こんな嫌な部分があったんだ」と気づかされてしまったのです。

離婚するつもりなら、いくらでも夫の愚痴を言っても良いと思います。表現することで決意を後押しする効果もありますから。ただ、私は夫とずっと仲良くしていきたいです。幸せな結婚生活が私の家庭方面での人生の目標です。そのためには、彼を嫌いになる要素は排除しなければなりません。だから、夫のことはもうあまり書かないと思います。