押し付けって恥ずかしい

押し付けがましい人を見ると、羞恥で身が縮む思いがします。 

『女性も働くべき』『留学してグローバル人材に』『世界を見ろ』『出産は人生最大の偉業』

まー、どれも正解だと思います。特に最初の3つは私も説教してしまいそうになります。でも、そういうときに何を言いたいかというと、「私を崇めろ!」って、そんだけなんですよね。行動するって辛いことなので、褒められでもしないとやってられないのです。でも、そうしそうになる度、あることを思い出して自身を戒めてます。

その思い出というのが、結婚して海外で暮らし始めた時のことです。

夫の知り合いと私達夫婦で食事をした際に、何をしているのかと聞かれました。「学生…」と言いかけたのを遮って、『家にいて何もしないって退屈でしょう?何かしたら?』と決めつけられてしまいました。海外にいる既婚女性=専業主婦=何もしてないという意識があったのでしょう。それから、彼女がいかに努力して今の地位を手に入れたのか語られ、彼女の生き方を語ることで人々に希望を与えたいということを一方的にまくし立てられました。夫と苦笑いしながら聞いていました。

ちなみに彼女は当時IMFで働いていました。困った人を助ける仕事をする人が堂々と他人を決めつけ見下すのを知って何とも言えない気分になったことをよく覚えています。

余談ですが、それ以来、開発援助をしている人のことを胡散臭く感じるようになりました。国際貢献といったような立派なことを考える人って、大抵お坊ちゃんお嬢ちゃんなんですよね。お金持ちで真面目で優秀でという。悪い人ではないのですが貧しさを知らないので、貧困をどうしても他人事として扱ってしまうんですよね。貧しい人=可哀想な人だと自然に見下してしまうというか。そんな想像力のない人が考える援助パッケージって、どれくらい実際に役立つのだろう…?と懐疑的になってしまいます。

話を戻します。おそらくIMFの彼女も辛かったのでしょうね。2年間の有期雇用、更新されるのは半数という厳しい職場で成果を出すことを求められている立場からすると、夫に守られてノホホンと専業主婦していた私はどうにも認めがたい存在だったのでしょう。しかしながら、私はともかくとして当地に来ている専業主婦は皆高学歴で有資格者(医師、弁護士)ばかりでした。正直、彼女が説教しても鼻であしらわれる経歴の人ばかりです。でも彼女は自身の功績に目が眩んでそんなこと見えちゃいないんだろうなー、専業主婦=怠惰なアホだと思ってるんだろうなー、レッテル貼りは怖いなー、私も気をつけよう、と思ったのでした。

逆に誰もが一目置かざるを得ない人は、経歴を明かしませんし、ごく普通の話題で会話を楽しんでいます。海外にいると、そういう人に『あなたはもっと努力しなくては』とばかりに絡んでいく勘違いさんを見ることが出来るので面白いです。