喜ばれないお土産を買う虚しさ

10年以上の結婚生活の中で、義両親には数えるほどしか会った事がありません。夫が彼らを訪ねた回数もどっこいどっこいなので、特別私が嫌われているというよりは、極端に他人と会うのを厭う性格のためらしいです。そのため、彼らが私と会うのは転職等の何か報告すべき事がある場合に限られます。

今回留学する際に祝い金を頂いたので、土産を買って帰りました。毎回義両親への贈り物には悩みます。老人は欲しいものは大体持っているので、物を贈ったところで喜びはしません。笑顔で受け取って処分してくれれば良いのですが、気に入らなければ何だかんだ理由をつけて送り返してきます。こちらも別に自分で使うつもりで選んだわけではないので途方に暮れるというサイクルを繰り返しているのです。

何もくれなくて良いから、というのが彼らの本心であることはこのことから充分よく分かっています。私も誰かからプレゼントを貰うと、喜びよりも趣味の合わないものを押し付けられる不快感が上回る方なので。

しかしながら、何も貰えないとそれはそれで腹が立つんですよね、私の場合。なので、何か頂いた場合には必ずお返しをすることにしています。内心、「お返しせにゃならんから、頼むから何もくれるな!」と思うのですが、そこは礼儀を重んじる義両親のことです、遺漏なく無視できない額を包んできます。かくして、礼を尽くすために互いが不愉快な思いをする誰も得しない悪循環が生まれるわけです。

そんなことを愚痴っても、お祝いを丸ごと懐に入れたままでは気持ちが悪いので土産を持参しました。義父にはジャケットのポケットに収まるサイズの折りたたみ傘とアイリッシュウィスキー、義母にはパシュミナストールです。どちらも日本未発売の英国メーカーのものです。案の定イヤイヤされましたが、営業マンさながらにプレゼンして受け取ってもらいました。特に、極小サイズの折りたたみ傘の構造には二人とも惹かれたらしく感心していたので、気に入ってもらえたのでしょう…多分。

いつか腹を割って、虚礼の遣り取りを廃した関係に持っていきたいものです。

ちなみに夫との間では礼儀もへったくれもないので、お土産は夫の好きなキャラクターを模ったグミ1袋だけです。200円。