親切

旅行していると、他人の親切さに驚きます。観光案内をしてくれる人、言葉が通じない国で通訳をしてくれる人。困っていると必ず助けてくれる人がいるので、世の中は優しい人ばかりだと痛感します。

翻って、私はどうでしょうか。道案内や通訳くらいはこれまで散々親切にされた恩返しにしていますが、義務感でやっている面が強く親切心からではありません。どうしても、私が受けたような親切を返すことができません。

彼らは、私が夜観光すると言うと、女性一人は危ないから着いていくと言い、一緒に観光してくれます。辺鄙なところへ行くというと、乗り場まで送ってくれ、運転手に細かく場所を説明してくれます。行き先に家族や知り合いがいれば、頼んでもないのに連絡してくれ、「駅に着いたら息子が迎えに来てるから!これ息子の電話番号!こっちは私の。何か困ったらいつでも連絡するのよ!」とお節介を焼いてくれます。なんというか、この日本人を無事に送り届けるのだという強い使命感を感じます。

他にも、腹が減ってないかとオヤツやご飯を差し出されたり、これが美味しいんだと屋台の食べ物を買ってきて持たされたり、彼らの情熱的と言っていい親切心がどこから来るのか、よく分かりません。

パスポートに、「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する」と書いてありますが、おかげさまで必要な保護扶助の元、通路故障なく旅を楽しめています。