在日韓国人の帰化について

在日韓国人について、ネット上で悪し様に言われているのを目にすることがあります。彼らの国を長い間占領した上に日本にまで連れてきてしまったのだから、彼らには日本に住む権利も朝鮮半島に帰る権利もどちらも保証されるべきですし、帰化の自由もあると個人的には考えています。

異国に暮らす外国人に共通の問題ではありますが、在日韓国人も有形無形の差別を受けているようです。帰化するか悩み、悩まなければならないことを嘆いている人もいます。

そういった人々に投げかけられるのが、「日本に住みたいなら日本国籍を取れ。ルールに従うのが悲しいなんておこがましい」というような意見です。一度でも外国に住み、そこで暮らし続けようとした人には絶対に言えない言葉だと思います。

日常では意識しづらいですが、私たちは日本人というアイデンティティにどっぷり浸かって生きています。私が海外で暮らしても平気でいられるのは、帰る国があるからこそです。多少差別されることがあっても、そこで生き続けなければならない人ほどは傷つきません。日本という国、母国にある職場や家族、そういったものに守られながら生きていることを国外に住んでいると強く感じます。

異国で暮らすことは大げさに言えば、自身の一部を絶えず否定され、誤解され続けながら生きることです。細かい擦り傷を作り続けることです。変わることも強いられます。せめてその国で生きることを自分の意思で選んだなら耐えられるかもしれません。しかし外国で生まれ育ち、母国にも愛着がある場合、悲しみは一層深いです。

私は日本人なので帰化について悩んだ経験はありませんが、差別されたことはたくさんあります。差別されるような部分を隠すようにし、差別を受けないように社会的に強い立場に寄り添うようにし、差別を恥ずかしいことだと理解できる程度に知的な人々と付き合うようにしたおかげで大分マシになりましたが、こういった努力が必要だったことは今も忘れていません。それだけに、努力の及ばない部分で差別され続ける人には同情を禁じ得ません。

メディアであれほど騒がれたISILの事件は移民二世によって引き起こされたものです。後藤さんらを殺害した(とされる)犯人はイギリス出身で、差別を受けた末に居場所を過激思想に求めてしまいました。ああいった悲劇が身に降り掛からないことを望むなら、まず国内にいる移民に幸せになってもらわなければいけません。でも、在日韓国人の問題とテロとを結びつけて考える人はあまり多くないようです。差別は巡り巡って誰も幸せにしないのに、なくならないのは悲しいことだと思います。