日本人の眼を通して海外を見ること

引き続き人質事件について考えています。

危険な土地にはジャーナリストといえども行くべきではない、記事を買えばいいだろうという意見があります。強い違和感を覚えます。

私は読書が好きで小説をもっぱら読みますが、時々はノンフィクションを手に取ります。素晴らしいジャーナリストによるものは、本当に世界を拡げてくれるというか、視界が開ける思いがします。

例えば、渡辺一史の「北の無人駅から」は北海道の農業、漁業、観光業等の詳細なレポートから地方自治、地方経済の現状や問題点を知ることができますし、高野秀行の「謎の独立国家ソマリランド」「世にも奇妙なマラソン大会」は、アフリカの地政学や国際社会のアフリカ地域での利害関係なんて全く知らなかった私には非常に興味深いものでした。

これらの本が日本人以外の手によるものだったら、これほどまで興味を持てるか分かりません。異文化理解は比べることから始まると思うのですが、例えばアメリカ人とソマリ人を比べたものを読むより、日本人とソマリ人を比べたものを読む方が、日本人には分かりやすいと思うのです。ジャーナリストの属性は、情報そのものと同じくらい重要だと私は考えています。

確かに、北海道経済やアフリカ地政学は知ってて得になるものでもありません。単なる好奇心を満たすだけの娯楽に過ぎないと言われれば、反論は難しいでしょう。ただ、迷惑をかけられたくないという一点で外の世界への窓が閉じられてしまうことには反感を覚えます。違う価値観、新しい知識に触れることは私にとって大事です。日本人から日本と比べてどう違っているのか解説してもらえる機会は貴重なので、これからもジャーナリストの方々には新しい情報を届けて欲しいと願っています。