血のつながった家族

私はあまり家族に対する愛着がありません。両親と妹が家族だという認識はありますが、養子に出されていたので一緒に暮らした年数が少なく、実感がありません。

なんとなく、血のつながった家族は神様から適当にあてがわれたものといった感覚がします。これが家族だから仲良くするようにと、全くの他人と暮らすように強制されたように感じるのです。結局、家族とはしっくり来ず、高校卒業と同時に逃げるように就職して家を出ました。一人になれた時には心底ほっとしたものです。これが私の家だと思いました。

一人のありがたさを知ったので、ずっと一人で生きようと思っていましたが、結婚しました。結婚は、意外と良かったです。実の家族との違いは、選ぶ余地があったということに尽きます。

お仕着せを着せられて、国が決めた配給を食べる北朝鮮の人々と、様々な商品から好みのものを選ぶ日本人と。どちらが幸せかは自明ですよね。私にとって実の家族は北朝鮮です。押し付けられたものです。でも、夫は違います。この人とだったらうまくやっていけるのではないかと思える人を吟味し、比較して選んだのですから。

結婚して初めて戸籍謄本を取り寄せたときのことを、今でも嬉しく思い出します。夫と私の二人だけが記載された戸籍謄本。初めて自分で選んだ家族。大事にして、幸せにしようと誓いました。