【ドラマ感想】昼顔

昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜 を観ました。

不倫はしないでおくに越したことはありません。でも、これだけ不倫をテーマにした物語があり、実際に不倫をしている人もいる以上、なんらかの魅力なり必要性があるのでしょう。人が不倫に何を求めているのかを見極め、それを不倫以外の何かに求められないか考えることが、私自身から不貞を遠ざけることにつながると思い、こういったものをよく手に取ります。

このドラマを観ていても、なぜ不倫相手のことを好きになったのかは描写不足で全然理解できませんでした。ぼそぼそ喋りのダサイ格好の教師も、無口でヒネた性格の画家も、どこがいいのかさっぱり。でも、なぜ不倫に走ったかはよく分かりました。みんな、承認欲求が強かったんですね。ありのままの自分を見てほしい、優しい言葉をかけてほしい、存在意義を満たしてほしい。なるほど、と思いました。

誰だって、付き合い始めの頃は、相手の行動に一喜一憂し、くまなく相手のことを知ろうとしますし、おべっかだって使います。承認欲求が満たされますよね。ただそれは最初の頃だけで、そのうち落ち着いてきます。そのうち彼らの配偶者と同じように承認欲求を満たしてくれなくなるのが分かりきっている相手と、なぜ不倫しようと思うのか、それがそもそも謎です。

承認欲求は、あちこちに分散して少しずつ満たせばいいのではないかというのが、暫定的な結論です。家庭で、職場で、趣味の場で、友人から、私は少しずつそれを満たしてもらっています。正直、もっと認めてほしいと思うことはありますが、私はこの程度だというあきらめと、私のことを認めてくれる人たちのおかげで、なんとかやっています。

夫は承認欲求供給源の最たるものです。綺麗だ、可愛い、愛してる、結婚して良かったと、毎日言葉を惜しまず与えてくれます。私も負けずに返したいと思ってはいるものの、照れがあってかなかなか言えません。このままだと、夫に愛想をつかされてしまうので、何とか言おうと努力しているところです。

夫のおかげで、飢えたように何者かにならなければならないと思い詰めていた頃から一転、にこにこ笑って天気が良いくらいで簡単に幸せになれるおばちゃんになれました。その分、感性の鈍ったつまらない人間になったようにも感じますが、まぁ、それでもいっか、と思っています。

このまま一生、手に入れたものの大切さを忘れず、仲の良い夫婦でいたいです。

 

余談ですが、昼顔の配役は上手ですね。不倫する側に美男美女を揃え、不倫される側に容姿や性格に難のあるキャラクターをあてることで、シナリオ上は不倫を糾弾するトーンにしつつも、上手に不倫を美化しています。そういう狙いだと分かっていても、「こんな妻(夫)だったら不倫したくなっても当然だよね」とついつい思ってしまいました。