結婚はできたけど、出産には踏み切れなかった話

本当はずっと独身でいたかった、と言うと周りから笑われます。平均よりずっと早く結婚したからです。婚活したこと、私からプロポーズしたことを言うと、びっくりされます。結婚したくないのに婚活していたなんて、矛盾も良いところです。でも、一応私なりの理由はあります。

学生の頃は、結婚しなくても恙無くやっていけると簡単に考えていました。けれど、社会に出てから、結婚しないとかえって面倒くさいことに気づきました。

独身というのは、誰とも付き合わないということとイコールではなかったからです。

誰かから誘われたら、その度毎に断る言い訳をいちいち考えなければなりませんでした。こう書くと、いかにもモテていたように見えますが、実際にデートに誘われたのは数回です。私にとっては、たった数回でも面倒くさくて気が重かったのです。それに、誘われる方は誘う人間を選べません。とてもじゃないけど一緒にいたいとは思えない男性に話しかけられるのは、おぞましい経験でした。

言い寄られるなんて一時期だけだと知っていれば結婚しなかったのかもしれませんが、20代の頃の私は今より短気だったので、「なんか面倒くさい。既婚者の方が世間体がいいし、さっさと結婚して落ち着いてしまおう。合わなかったら離婚すればいいんだし」と考え、婚活を始めました。なるべく短期間で結果を出したかったので、転勤を控えているなど切羽詰まった事情がある人を探しました。幸い探し始めてから1年ほどで夫と出会い、そのときには夫の赴任が決まっていたので、すぐに結婚しました。費用も10万円程度で済みました。

結婚してからは、当然誰からも誘われなくなり、でも独身の時とあまり生活が変わることもなく、平穏な日々が続いています(夫は激務なので、実質一人暮らしです)。人付き合いにかかるコストが減ったので、より仕事や勉強、趣味に時間を割くことができるようになりました。結婚してよかったと心から思います(親戚付合いについては、双方の両親と会う機会が少ない上、親戚となると全くと言っていいほど会いません。これはラッキーでした)。

 

結婚するとすぐに、子どもはまだかと聞かれるようになりました。いちいち説明するのが面倒くさいのと同時に、言外に不良品と言われているようで気が咎めました。

他方、フルタイムで子育てをする母親が、いわゆる理想像のように語られていたし、憧れないわけでもありませんでした。やっぱり人間たるもの、完璧を目指したいものです。

夫の海外赴任中、私は仕事をしていなかったので産むチャンスかなと思い、検討するだけしてみました。

職場で子持ちだとバレると仕事を減らされてしまうから、就職前に産んでおいて、夫の扶養に入れて、子どもがいない振りをして再就職する・・・。

日中保育園に預けると月これくらい、時間外にベビーシッターを頼むとこれくらい、病気をした場合はベビーシッターに丸一日預けることになるから月3回病気になるとして割増料金はこれくらい・・・。毎日仕事の状況に応じて連絡しなくちゃいけないから、やっぱりしんどいな・・・。

中国には0歳児から24時間預かってくれる寄宿舎があるらしい・・・。こういうのが日本にもあればいいのにな・・・。

暁星国際学園は小学校から寮がある・・・。偏差値も高くない!6歳になるまでなんとかやりくりすれば産めるかも!

気が進まないけど、母に子守りを頼もうかな・・・。でも孫の面倒を見ていた祖母はいつも文句を言っていたな・・・。子育ての次は孫育てで、その次は介護で、今は惚けてしまって、祖母の人生は一体なんだったんだろう・・・。などなど。

 

調べれば調べるほどに、好きなだけ仕事をしながら同時に子育てをするのは無理だと思い知らされました。子どもを産まないでいて、多少小言を頂戴するくらいが一番楽だと気づき、今に至ります。結局、世間体は気にしても、面倒くさいことは嫌いなんですよね。ぎりぎり許容できたのが結婚までであったという話でした。