無意識に父の後を追っている

私の父は技術者です。海外赴任期間が長く、工場の立ち上げや技術指導の実績があるため、定年後の再就職も容易でした。今は東南アジアで働いています。

私は最初一般職として就職しましたが、手に職をつけることと住むところに拘らないことの強みを父を見て知りました。

何か属人的なスキルがないと一生稼ぐのは難しい、技術を磨ける環境に身を置かなければ将来は危うい、そう思ってキャリアを変更したことを覚えています。いつでも転居できるように荷物をあまり持たないようにし、海外での生活環境の悪さに慣れるよう訓練し始めたのも父の影響です。

幼い頃からパソコンを与えられたのも、インターネット環境を早々に整えたのも、英語を身につけさせられたのも、資産運用の大切さを熱心に説かれたのも、その当時は反発を覚えたもののそっくりそのまま吸収して私は成長してきました。笑ってしまうぐらい、私は父の狙い通りに育っています。

彼の狙い以外のところも私は真似てしまったようです。父は彼の両親(私にとっての祖父母)の介護がしたくないばかりに海外へ逃げましたが、そういった点もしっかり私に引き継がれています。私も両親の面倒を見るつもりはありません。私が生まれてしばらく経って、父の期待に応えるほど優秀でないと判明した瞬間、彼は私の養育からも逃げました(介護や育児から逃げたのは母もなので、父だけの責任ではありませんが)。私も暗愚な子どもを持ったら疎ましく思うに違いないので、子どもは持たないことに決めてしまいました。

私は父があまり好きではないので、あんまりにも彼そっくりになってしまったことについてはモヤモヤしたものを感じています。ですが、親の影響力ってすごいですね。どうしても父の生き方以外が正解だと思えないのです。まるで呪いです。