雇用について暗い話

EUでは、金融機関で働く人のボーナスが多すぎるため、ボーナスの上限を定めています。かつて金融危機を引き起こしたのに、高禄を食むのは許せぬ、とのことです。

感情論を抜きにして考えると、こういった規制には無理が生じるでしょう。金融機関で働けるような人は、頭が良くアイデアマンです。仮に彼らの給与を無理やり下げたとしたら、優秀な彼らは別の会社に行くでしょう。あまり優秀でない人はまだ残ってくれるかもしれませんが、そうするといいアイデアが出なくなり、業績が悪くなり、そのうち倒産してしまいます。別に金融機関も好きでボーナスを上げているわけではなく、代替の利かない人材を引き止めるため仕方なくやっていることなのです。

反対に、能力が低い人に会社はあまりお金を払いません。工場などでパートを雇う理由は、設備投資より安くつくからと聞いたことがあります。人間はフレキシブルに動けるので、特に小ロットの生産に向いているそうですが、それも3Dプリンター等の登場で今後どうなるかはよく分かりません。そんなところに、無理やり給与を上げさせたとします。おそらく、会社は労賃の高さを嫌って機械化を進め、逆に失業者が増えてしまうという結果になりかねません。

このように、政治で解決できることには限界があると常々思っています。私は国を信頼してませんが、別に国が悪いことをしていると思っているからではなく、彼らにできることには限界があることを知っているからです。

私は努力が嫌いですし、できれば働かずだらだら暮らしたいです。しかし、財政悪化に伴い先細りしていく福祉と、機械化の恩恵により単純労働者を必要としなくなりつつある社会を見ると、生身の労働者が不可欠な分野で働き続けられるようにしなければまずいと感じていますし、今の自分がどこでも通用する実力を身につけているとはとても思えません。変化を恐れず進んでいきたいです。